2015.03.19
最近、相手方に勝算がないような事件の裁判でも弁護士の代理人が就いて大いに争ってくる事件が増えたように思います。ですので、勝ち筋でも抵抗に対抗するための時間と費用を考えておかなければならなくなっています。10年以上前なら、成果が見込めないから、大半の弁護士が依頼を断ったであろうと思われる事件でも弁護士が就いて真っ向から争ってくるようなことが珍しくなくなりました。これも弁護士が増えて無理筋や負け筋でも依頼を受ける弁護士が増えたのでしょう。依頼する側からすれば、昔のように何軒も断られ続ける事態が少なくなって歓迎すべきことといえなくもありません。しかし、無理筋や負け筋の事件は成功報酬が望めませんから、弁護士が受任する場合は、着手金やタイムチャージ(時間単位の報酬)に重きを置くことになります。そうすると、負け筋の事件で結果も負けになった場合、弁護士を依頼した分だけ余計な費用がかかったことになります。そのことを依頼する段階で承知していればいいのでしょうが、「引受けてくれる弁護士さんが見つかったのだからきっといい成果が出る」と期待していた場合は、落胆は大きいでしょう。一昔前のように、引受ける弁護士が見つからない方が早めに無理筋の事件ということがわかって余計な費用がかからなくてよかったという見方もできるでしょう。
当事務所では、成果が見込めない事件の受任は慎重にしています。無理筋、負け筋でも、和解等の円満解決に価値がある場合、少ない勝算に賭ける価値がある場合等は受任しますが、その時は、過大な期待をされて後で気まずくなっても困るので、十分想定される事態を説明して納得してもらってから受任するようにしています。時には、「あの弁護士は弱気だ」と思われるかもしれませんし、業績向上のためには事件を選んでいてはいけないんでしょうが、やはり後味の悪い思いはしたくないので、安易な受任は避けるようにしています。今のところ、過去の依頼者からの再度の依頼や依頼者からの紹介の案件がそこそこあるので、このような方針でも支持は得られていると思っています。
山田滋 山田公之
投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所