2015.01.13
民事紛争のなかでも、遺産分割の紛争は文句なく時間がかかる類型に入るでしょう。私(山田公之)がかかわった遺産分割事件の中でも、解決まで、30年や27年かかったものがあります。遺産分割が長期化してしまうのは、相続人が多い、遺産が多い、遺産の評価が困難、遺産の範囲が不明確、親族間故の長年にわたる怨恨がある、といった要素があるためです。遺産分割の解決のためには、遺産の範囲や生前贈与の有無や遺言の有効無効などの前提問題の解決を要する場合があり、そのような前提問題は別訴訟で解決しなければならない場合があり、その別訴訟で最高裁まで争うと、5年やそこらかかってしまうのです。30年かかった事件は、遺産が多い上に、被相続人が死亡する以前から家督相続的な考え方で財産の承継が進められていました。それを、子だくさんの時代に生まれた多数の相続人で争っていたのです。長期化する内に当事者の世代交代が進み、そこで更に相続人が枝分かれして複雑になる悪循環でした。解決した頃は1人を除いて他の当事者は孫の世代になっていました。争っている間遺産を有効活用できず、もらえるはずの遺産を生きている間に使えないのは虚しさを感じました。現在は、家督相続的な考え方も縮小し、少子化しているので、10年を超える遺産分割紛争は少なくなってきていると思いますが、それでも長期化しやすい紛争であることには変わりありません。相続が始まる前に話し合いをしたり遺言書を書くことで紛争化はかなり防げます。
投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所