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弁護士ブログ

自筆証書遺言書保管制度

2021.03.17

 2020年7月から法務局に遺言書を保管する遺言書保管制度が始まりました。広く利用されている遺言は遺言者が手書きで作成する自筆証書遺言と公証役場の公証人に作成してもらう公正証書遺言の2つで、どちらを利用するかは、手間、費用、財産の大小、紛争の可能性を考えて決めることと思いますが、この中間で自筆証書遺言を作成して遺言書保管制度を利用するという方法も考えられます。遺言書保管制度を利用すると、遺言書が公証役場に保管されバックアップもとられるので、遺言書が行方不明になったり滅失して遺言が活かされなくなる危険がなくなります。

 そして、遺言書は、遺言者の死亡前は相続人らに内容は知られたくないものの死亡後は発見してもらえないと意味がないのですが、遺言書保管制度では、法務局で保管してあるという保管証を入手でき、相続人らが法務局で遺言書をみることができるのは遺言者が死亡してからになるので、遺言の存在が不明であったり死亡前に内容を知られるのを防げます。遺言者の死亡後、手間と時間がかかる家庭裁判所による遺言書検認の手続きが不要なのも大きな利点です。法務局に遺言書を預ける時は必ず本人が行かなければならないのは面倒ですが、預ける際に、遺言書の押印や日付の記載等の外形的な確認が受けられて無効になるのを防止できるのも利点です(但し、遺言の内容そのものにはかかわりません。)。保管にかかる保管手数料は1件につき3900円(この記事作成時)でそれほど高くありません。ちなみに、公正証書であれば、財産が3000万円なら手数料は2万3000円です(この記事作成時)。

 財産が多い、相続争いの懸念がある、遺言者の判断能力が問題にされる可能性がある、といった事情があれば、手間と費用をかけて公正証書遺言を作成するのがいいでしょうが、遺言書を書いておくべきであるが、そこまで大きな問題はない、あるいは遺言の内容が変わる可能性があるからまだ手間と費用をかけるほどではないといった場合には自筆証書遺言書を作成しつつもう少しの手間をかけて遺言保管制度を利用して紛失滅失防止や遺言書検認不要という利点を享受するというのもいいかと思います。

 自筆証書遺言、自筆証書遺言と遺言書保管制度の併用、公正証書遺言はどれも一長一短ありますから、当事務所では、遺言書作成の相談があった場合は、相談者の事情をおききして、目的、遺言者の自筆能力や行動力、費用対効果を考えて、適切な方式をお勧めしています。

投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所

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