2012.05.02
失踪宣告と認定死亡
今回の大震災でもそうですが、災害や事故があると、死亡した可能性は高いものの、遺体が確認できない等により行方不明のままになっていることがあります。こういう場合に死亡したことにして法律関係を整理する制度として、失踪宣告と認定死亡という制度があります。前者は民法の制度(第30条)、で後者は戸籍法の制度(第89条)です。失踪宣告は家庭裁判所が発令します。通常の失踪宣告は7年間音信不通の場合に発令されますが、危難があったことを前提とした失踪宣告は危難が去ってから1年経過すれば失踪宣告可能で、この場合、危難が去った時に死亡したと見なされます。認定死亡は災害等の事変によって死亡したと判断される場合にその取り調べをした行政官庁が市町村長に死亡の報告をすることによって死亡を推定する制度です。こちらは、失踪宣告と異なり死亡認定まで1年以上待つ必要はないので、相続や保険金の支払い等で迅速な対応ができます。両者は類似した制度ですが、後から本人が死亡していないことが判明したときの手続きに顕著な差異があります。認定死亡の場合は、死亡が推定されているだけなので、生存が確認できれば推定は破られ、死亡の取り扱いはなくなります。しかし、失踪宣告の場合は死亡と見なされているので、この効力を覆すには、改めて家庭裁判所から失踪宣告の取り消しの審判を発令してもらう必要があります。
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投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所