2017.07.01
H29.7.1
弁護士の仕事としてよく思い浮かぶ1つとして証人尋問があると思います。法廷ドラマでも証人尋問がクライマックスになっていることはよくあります。そういうことで証人尋問が弁護士の主要な仕事を思われるかもしれませんが、実際は証人尋問をする機会は少ないです。半年に1回とか1年に1回なんていう弁護士はザラにいます。民事訴訟の場合は、証人尋問の前に和解で終了することが結構多いのです。しかも、証人尋問の実技は司法試験にはありませんし、研修でも一部の研修生が模擬裁判で少しだけ経験する程度です。ですので、弁護士の資格を取る際には証人尋問の才能は問われないのです。証人尋問の技術は、弁護士になってから実践で学んで身につけることになります。ところで、本人訴訟で民事訴訟をする方は、証人尋問も本人がやらなければなりません。その時よく感じるのは、当事者本人が尋問すると、相手を論破しようとしたり、自説を演説したり、という内容になってしまうことが多いということです。裁判官からは、「自分の意見を述べるのではなく質問をしてください」「議論にならないように」と注意されるような場面がよくあります。本人訴訟の方は国会等で政治家が行う質問や討論のような感覚で尋問をするように思えます。裁判の場では、尋問で自説をアピールすることは二の次で、尋問によって、相手の主張や立証の矛盾点や信用性のないことを裁判官にわかるようにあぶり出せばいいのです。ですから、証人がおかしな証言をすれば、「それはおかしいでしょ」と責めるよりも、おかしなことを言わせっぱなしにして、裁判官に対して「この証人はこんなおかしなことを言っていますよ」ということをわかってもらうようにします。
投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所