2017.09.23
民事事件や家事事件で当事務所の最寄りの裁判所は東京地方裁判所ですが、東京から遠方の裁判所の事件を受任する場合もあります。遠方の裁判所に出廷する場合は、弁護士は依頼者から交通費や日当をいただきますが、例えば大阪の裁判所に行くには新幹線を使った交通費だけでも往復3万円近くかかるわけで、裁判が長引いて5回も10回も出廷する場合は、旅費日当は結構な負担になってしまいます。そこで、民事裁判や家事審判では、結審や証人尋問など重要な局面でなければ裁判所は電話会議の方法で裁判を進めてくれる場合があります。その場合一方当事者の代理人弁護士は裁判の期日に事務所で待機して電話で対応します。依頼者にとっては裁判の経費が節約できますし、弁護士が多忙な時には大変助かります。そういう点で電話会議は便利な制度なのですが、過度の依存は禁物です。電話会議で裁判所に出廷した側は裁判官の面前で話すわけで、当然のことながら、受話器越しの当事者よりも、アピールしやすいですし、裁判官の表情や会議の雰囲気という情報量も多いです。裁判官と弁護士が現地で顔見知りということもありましょう。主張書面や証拠の扱いは公平を心がけたとしても非公式な部分での不利感は否めません。そこで、裁判の序盤の証拠提出や争点整理はいいとしても、争点についての議論や和解条件の調整のような場面ではやはり直に出廷したほうがいいにこしたことはありません。 依頼者からみると費用負担のほうに関心が行きがちですが、当事務所では、直に出廷することの重要性も説明するようにしています。
投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所