2016.03.18
H28.3.18
民法の原則では、振込手数料は振り込む側の負担です。現行民法では「弁済の費用について別段の意思表示ないときは、その費用は、債務者の負担とする。(第485条)」と規定されています。それなのに、「振込手数料はご負担ください。」と書いてある請求書はよく見かけます。このような注意書きがないと振込手数料を受領者負担にしてしまう人がいるからでしょう。例えば、債権者が集金する習慣があった取引などでは、集金するコストを考えたら振込手数料くらい安いではないかという感覚があるかもしれません。新聞、光熱費、NHK受信料も集金する習慣がまだ残っています。
では、納品のコストはどうなのかというと、巷に多数出回っている製品(不特定物)であれば、民法では相手の住所に届ける義務あるとされていますから(第484条)、納品のコストは納品する側が負担するが原則で、振込手数料の負担の場合と均衡がとれています。しかし、現状では、送料は顧客負担のことが多く、振込手数料も顧客負担が原則だと、顧客側は負担が多いと感じることでしょう。しかし、送料や振込手数料をどちらが負担するかは、民法の原則を特約で修正することができますので、両方顧客負担とする契約も認められます。顧客としては、送料や振込手数料を含めた商品価格を念頭に買うか買わないかを判断するということになりましょう。
投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所