2018.10.22
法定利率とは、利息がある金銭債権で利率が決まっていいない場合や支払遅延が生じた際の遅延利率が決まっていない場合に法律の定めによって適用される利率のことで、今まで民事は年5%、商事は年6%と固定されていました。しかし、民法の改正によって2020年4月1日から民事商事いずれも年3%になり3年ごとに見直しが行われることになりました。市場の金利は頻繁に変動していますし、低金利が続く昨今だと年5%の法定利率は高すぎるという考えに基づいています。固定利率が変動利率になったわけですが、見直しは3年ごとですし、変動は1%刻みですので、住宅ローンの変動金利のように毎年1%未満でこまめに変動するわけではありません。
新法定利率が適用されるのは、2020年4月1日以降に利息が発生する場合ですから、2020年4月1日以降の契約やその日以降に遅延損害金が発生する場合等となります。例えば、交通事故による損害賠償請求権でしたら、2020年4月1日以降に発生した事故に年3%が適用されます。交通事故や医療事故等で死亡したり後遺症が残ったりした場合の損害賠償金は、将来得られたであろう利益(逸失利益)が賠償の対象になり、将来分の利益を前倒しで賠償されることになるので、中間利息の控除が行われます。この場合は、法定利率が下がることは賠償額が増えることになります。支払遅延に対する制裁は低くなるのですが、逸失利益は被害者有利になるということです。そして一度当該債権に発生した法定利率はその後法定利率の見直しがあっても当該債権では見直しにはなりません(当事者の合意があれば別)。
投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所