2017.03.21
民事訴訟で本人尋問や証人尋問を行う場合、自分側が尋問申請した当事者本人や証人については陳述書を書証として提出するのが慣例になっています。陳述書には証言予定者が事件に関係ある経験や自分の考えを書きます。陳述書の作成者を法廷で尋問するのになぜあらかじめ陳述書を書くのかというと、尋問時間を節約するのと反対尋問の準備のためです。自分の側が申請した証人については、あらかじめ打ち合わせができ、法廷で言わせたいことも決まっているので、陳述書に整理しておいて尋問時間を少なくて済むようにします。相手方は証人の証言の信用性を崩すための反対尋問をします。その際、陳述書があって、その証人が法廷で証言したいことがあらかじめわかっていれば、その証言の信用性を崩すにはどんな質問をすればいいかあらかじめ検討でき、充実した反対尋問ができるというわけです。証人申請した側からすればあらかじめ証言内容を相手方に知らせるのは得策ではないと思われるかもしれませんが、それはお互い様ですし、むしろ反対尋問をされても証言内容が動揺しなければ、証言の信用性はより高まるわけで、反対尋問に耐えることは立証にとって大事な要素です。
その陳述書ですが、作成名義人が好きなように書くことは希です。裁判に必要なことをわかりやすく書き、かつ不利にならないようにするために、代理人弁護士が関与するのが通常です。ただ、裁判対策の要素に重点を置きすぎると作成名義人は自分の陳述書なのに書いてあることをよく理解できない状態になり、反対尋問で答えに詰まったり、うっかり不利な証言をしてしまうこともあります(尋問中は陳述書を見ながら答えさせてくれません。)。裁判対策も考慮しつつ本人も理解できて自分の言葉で語れるような陳述書にする工夫が必要です。
投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所