2014.03.01
オレオレ詐欺雑感
最近、オレオレ詐欺の受取人役の国選弁護事件がよく割り当てられるようになりました。振り込め詐欺やオレオレ詐欺への注意喚起が浸透して、痴漢や暴行をして捕まった被疑者から頼まれて我々弁護士が親に電話連絡すると詐欺だと疑われて仕事がやりにくいこともありますが、まだまだ被害に遭う人が多いようです。一方で騙した側で捕まるのは受取役のような末端の人ばかりです。こういう人達は若者が多く、都会の繁華街でふらふらしているところを書類を受け取るアルバイトがある等と声をかけられて、数万円の報酬で電話で指示された場所に行く受取人役の仕事に応じてしまうのです。受取人役の人達は、捕まった時詐欺の共犯だといわれてもピンとこない人が多いです。どういうストーリーで被害者のお年寄りを騙しているのか知らないし、受け取る物は書類だといわれたから自分はお金をだまし取ろうとした意識がないという訳です。しかし、雇い主の…身元がわからない、電話で指示した人物もわからない、偽名や偽の職業を名乗るように指示された、まともな人は書類を受け取るような単純な仕事に数万円の報酬など払わない、オレオレ詐欺の手口は社会に広く認識されている、という状況下におかれれば、犯罪に関わっていることは当然認識できるわけですから犯罪をやっているとは思わなかったでは済まされません。しかも、オレオレ詐欺は、その卑劣性や組織性に加え被害金額が大きいことから、量刑が重く、主犯格たりえない受取人役でも、いきなり執行猶予無しで刑務所行きになることも珍しくありません。捕まった受取人役にその話をすると愕然とします。被害金が被害者に戻らないと、受取人役の人には数百万円の被害金を弁償する資力はありませんから、被害回復がなされないという理由で刑務所行きの確率はもっと高まります。主犯格は少ないリスクで高額な被害金を吸い上げ、失敗しても末端の受取人役が捕まるだけで、また別の受取人役を雇ってオレオレ詐欺をする、という構造になっています。末端の受取人役はハイリスクローリターンで使い捨てにされるわけですから全く割に合わない犯罪です。怪しげバイトに応じてオレオレ詐欺の片棒を担ぐことがないように願うばかりです。一方で、主犯格が捕まらない現状ではオレオレ詐欺はなかなか根絶できません。主犯格を捕まえるために通信傍受やおとり捜査の許容範囲をもう少し広げてもいいように思います。
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投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所