2017.01.07
H29.1.7
昨年10月20日付けのブログで書いた、遺産の預金を相続人間の遺産分割協議を経ずに法定相続分の割合で預金を下ろせるかについて、昨年12月19日に最高裁判所の大法廷の決定で、2004年(平成16年)4月20日の最高裁の判例を変更して、預貯金は遺産分割の対象になるとしました。法定相続分の割合で相続人各人が預貯金を下ろせるという判断が変更されたのです。15人の最高裁判事全員一致の決定です。確かにこのようにしないと、生前贈与をたくさん受けた相続人がいる場合に預貯金の取得で調整する機会が奪われますから預貯金当然分割説は不合理でした。また、預貯金を遺産分割の対象にすることにより、他の遺産の価格にばらつきがある場合に取得総額を調整しやすくなる利点があります。
一方で、遺産分割協議が長期化した場合は、葬儀費用や相続税など当面相続費用や同居の遺族の生活費について預貯金が活用できなくなる問題があります。そのような問題に備えるために、ますます、予め遺言書を書いておくとか、受取人を指定した生命保険の利便性が着目されるでしょう。あと、遺産分割待ちで塩漬けになってしまう預貯金の問題を立法によって解決する議論もあるようです。
投稿者:弁護士法人しんらい法律事務所